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Windows 365とAVD、どっちが良い?VDIのメリット・選び方を比較解説

クラウド
2025.12.25

企業のIT環境は今、急速に変化しています。働き方改革やDX推進、セキュリティ強化などの必要性が叫ばれる中、これらを同時に実現する手段としてクラウド型仮想デスクトップ(VDI)が注目されています。

本記事では、Microsoftが提供する2種類のクラウドVDIサービスである「Windows 365」と「Azure Virtual Desktop(AVD)」に着目します。両クラウドVDIサービスの特徴やメリットを比較した上で、VDI導入時の選定ポイントを解説します。

そもそも、クラウドVDIが注目される背景は?

クラウドVDIが注目されている主な背景を、4つの観点で整理します。

  

1. 働き方の変化

テレワークやハイブリッドワークが定着し、場所を問わず安全に業務を遂行できる仕組みが求められています。クラウドVDIであれば、場所や接続元デバイスに関係なく社内外から同一のデスクトップ環境を利用できるため、柔軟な働き方を実現できます。
 

2. セキュリティ要件の高度化

情報漏えいや不正アクセスなどのリスク増加に伴い、企業のセキュリティ要件は厳しくなっています。クラウドVDIであれば、データを接続元PC上に残さないため、ゼロトラストや多要素認証と組み合わせることで強固なセキュリティを実現できます。
 

3. 端末管理の負荷増大

BYODやスマートデバイス利用の推進により、デバイス管理の複雑化や運用コストの増加に繋がっています。クラウドVDIであれば、物理端末への依存を減らし、一元管理された仮想環境により運用を簡素化します。
 

4. ITコストの圧力

予算の制約がある中で、利用状況に応じた柔軟なリソース管理が求められています。クラウドVDIであれば、必要に応じてリソースを柔軟に調整できるため、無駄なコストを削減できます。

このように、クラウドVDIは様々なニーズに応える有力なソリューションとして注目されています。特に、Microsoftが提供する「Windows 365」と「Azure Virtual Desktop(AVD)」は、Microsoft 365やAzureとの親和性も高く、VDI導入を検討する上で有力な選択肢となります。
 
先ずは、2つのサービスそれぞれについて、特徴とメリットを整理します。

Windows 365とは? 特徴とメリットについて

Windows 365は、Microsoftが提供するクラウドPCサービスです。

クラウド上に構築されたデスクトップ環境(クラウドPC)に、インターネット経由でアクセスして利用します。シングルセッションなので、クラウドPCは自分専用のWindows環境となります。ユーザー単位の月額課金であり、Microsoft Intuneともシームレスに連携されるため、構築や運用の負担も少ないです。シンプル導入に適したサービスとなります。

Windows 365が持つ大きなメリットは、次の3つです。
 

1. 導入が簡単

Windows 365は、複雑な設計を必要としないため、簡単にクラウドPCを展開できます。基本的な構成のクラウドPCであればカスタマイズも少なくて済み、お手軽に利用開始できます。インフラやAzure等の専門知識も要求されないため、中小企業や非IT部門でもスムーズに導入可能です。
 

2. 管理が簡単

Windows 365は、Microsoft Intuneを活用することで、アプリケーションの配信、ポリシーの設定、OSの更新などを一元管理できます。個別のクラウドPCに対する遠隔操作(再起動・復元・再プロビジョニング等)も可能です。100%クラウドベースで管理ができるため、運用担当チームの負荷を大きく軽減できます。
 

3. コスト計算が簡単

Windows 365は、月額の固定料金で利用できます。ライセンス(クラウドPCのスペック)と利用者数の掛け算でコストが計算できます。クラウドPCの利用時間や稼働率に左右されないため、従量課金と比べてランニングコストを算出しやすいです。コストの変動リスクを避けたい企業にとって、安定した料金体系は大きなメリットになります。

Azure Virtual Desktop(AVD)とは? 特徴とメリットについて

Azure Virtual Desktop(AVD)は、Azure上に仮想デスクトップやアプリ配信基盤(RemoteApp)を構築できるサービスです。

マルチセッションに対応しており、複数ユーザーでリソースを共有できます。オートスケール機能やFSLogixによるプロファイル管理など高度なカスタマイズにも対応し、既存のCitrixやVMwareとの連携も可能です。構築や運用にある程度の専門知識が求められる代わりに、自由度が高いため複雑な要件に適したサービスとなります。

AVDが持つ大きなメリットは、次の3つです。
 

1. カスタマイズ性が高い

AVDは柔軟性と拡張性が非常に高いため、自由にカスタマイズが可能です。企業の要件や想定する使い方に合わせて、VDI環境を設計・構築できます。
 

2. マルチセッション対応

AVDはマルチセッションに対応しており、1台の仮想マシンを複数ユーザーで共有できます。全利用者分のリソースを用意する必要がないため、利用者数が多くなっても効率良くリソースを活用し、コストを抑制できます。また、共有リソースを一元管理する形となるため、セキュリティパッチ適用やアプリケーション更新も一括で対応できます。
 

3.  コストの最適化

AVDは従量課金モデルを採用しており、実際に利用した分だけコストが発生します。一方で、オートスケール機能を活用すれば、時間帯や需要の変化に応じて、リソースを自動的に最適化できます。例えば、利用頻度の高い朝・夕方(ピーク時)はリソースを増やして高負荷に備え、利用頻度の少ない夜間はリソースを減らして無駄なコストを削減するなどして、リソースを自動的に増減できます。

Windows 365 と Azure Virtual Desktop(AVD) の違いは?

Windows 365とAzure Virtual Desktop(AVD)は、どちらもMicrosoftが提供するクラウドVDIサービスですが、設計思想やコンセプトは異なります。ここでは、両者の違いを項目ごとに比較します。

各サービスを簡潔にまとめると、
・Windows 365は、
「シングルセッション」、「シンプルに導入」、「固定コスト(ユーザー単位で月額固定)」

・Azure Virtual Desktop(AVD)は、
「マルチセッション」、「高度なカスタマイズ」、「コスト最適化」
がキーワードとなります。

両者は同じ仮想デスクトップ(VDI)のサービスですが、実は、似て非なるものであると理解できました。どちらのVDIを導入すべきかは、組織の規模や予算感、想定される利用シナリオなどによって変わります。それでは、あなたの組織はどちらのVDIを導入すべきでしょうか。

Windows 365 と Azure Virtual Desktop(AVD)、どちらを選ぶべき?

仮想デスクトップ(VDI)の選定は、単に機能を比較するだけではなく、導入目的や企業環境、利用シナリオを踏まえることが重要です。ここでは、Windows 365とAzure Virtual Desktop(AVD)がそれぞれどのようなケースに適しているか、選定のポイントを整理します。
 

Windows 365が向いているケース

Windows 365は、下記のようなケースに向いています。

・シンプルな構成の仮想デスクトップ環境を、お手軽に導入したい。
・コストを固定化して、安定した予算計画を立てたい。
・VDIに詳しいIT担当者がいないため、展開や運用をシンプルに済ませたい。
・利用者数や利用時間帯が大きく変動しない。

一方で、次のような点には注意しておく必要があります。

・特にAVDと比較すると、カスタマイズの幅が控え目。
・シングルセッションであるため、ランニングコストが割高になりやすい。
 

Azure Virtual Desktop(AVD)が向いているケース

Azure Virtual Desktop(AVD)は、下記のようなケースに向いています。

・多様なニーズに応えられるような、高いカスタマイズ性が欲しい
 ※GPUや高い処理能力を必要とする業務(CAD、メディア編集など)にも対応可能
・マルチセッションによりセッションホスト台数を圧縮し、リソース効率を最大化したい
・接続が集中しやすいピーク時間帯があるなど、利用時間にムラがある

一方で、次のような点には注意しておく必要があります。

・構築や運用には、Azure環境に関してある程度の専門知識が要求される。
・従量課金であるため、セッションホストの稼働時間やデータ転送量などに応じて月々のコストが変動する。コストの最適化には、継続的な検証や監視が必要になる場合も。

まとめ

今回は、Microsoftが提供する代表的なクラウドVDIサービスである、Windows 365 と Azure Virtual Desktop(AVD) を比較し、それぞれのメリットや利用シナリオについて紹介しました。

Windows 365は、仮想デスクトップ環境を手軽に導入できることが大きなメリットであり、展開や運用をシンプルに済ませたい場合に最適です。一方で、AVDは柔軟性と高度なカスタマイズ性が大きなメリットであり、多様なニーズにも対応できます。

どちらも有力なVDIの選択肢ですが、設計思想やコンセプトは異なります。導入目的や企業環境、利用シナリオを踏まえた上で、導入するクラウドVDIサービスを検討することが大切です。

仮想デスクトップ(VDI)の導入支援について

SCSKでは、Windows 365 と Azure Virtual Desktop(AVD)の導入支援を実施しています。発生しやすい課題への対応ノウハウも蓄積しているため、設計・構築から運用まで、最適なクラウドVDI環境の実現をサポートします。

Windows 365 や Azure Virtual Desktop(AVD)の導入を検討されている方や、VDIの導入に興味・関心のある方は、ぜひ一度SCSKにご相談ください。

SCSKのMicrosoft Azure ビジネスについて

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