SCSK

メニュー

お役立ちコラム

クラウド/DB移行からデータ
運用までDX推進に役立つ情報
を掲載しています。

お役立ちコラムイラスト
お役立ちコラムイラスト

OracleからPostgreSQL移行、何に注意すべき?3つのポイントを解説

データベース
2025.09.12

OracleからPostgreSQLへの移行は、クラウド移行やコスト削減の有力な選択肢として注目されています。
しかし、異なるデータベース間の移行では、注意点を押さえずに進めると、データ欠損や性能劣化、予期せぬ非互換性などの失敗が起こりやすくなります。そのため、これらのリスクを事前に回避し、手戻りのないスムーズな移行を実現することが重要です。

本記事では、OracleからPostgreSQLへの移行を例に、「変換」「仕様」「性能」という3つの観点から、異種データベース移行で直面しやすい課題とその対策ポイントを解説します。

そもそもなぜ、PostgreSQLへの移行が注目されるのか?

多くの企業がOracleからPostgreSQLへの移行を検討するのは、単なるコスト削減だけでなく、戦略的なIT投資の一環として、「柔軟で将来性のあるシステムを構築したい」というニーズがあるからです。こうした背景から、PostgreSQLへの移行の主な理由は次の3点にまとめられます。
 

1. コスト効率の向上

オープンソースであるPostgreSQLを活用することで、ライセンス費用や保守費用を抑え、IT予算をより有効に活用できます。Oracleを含む既存環境との併用や段階的移行も可能で、企業の状況に応じた最適な選択が可能です。
 

2. ベンダーロックインからの柔軟な脱却

特定ベンダーに依存しないシステム構築が可能なため、企業のIT戦略に合わせた柔軟な運用が実現できます。既存Oracle環境との連携も考慮しながら、段階的な移行を検討することができます。
 

3. オープンソース技術の活用

PostgreSQLは世界中の開発者コミュニティによって進化し続けており、最新技術への迅速な対応や豊富な拡張機能の活用が可能です。これにより、将来のシステム拡張や新しい機能導入も柔軟に対応できます。

このようにPostgreSQL移行には多くの魅力がありますが、だからといって移行が単純に進められるわけではありません。
実際の現場では、異なるデータベース間ならではの非互換や性能差に直面し、計画通りに進まないケースも少なくありません。 そのため、移行プロジェクトを成功させるには、あらかじめ想定される課題を理解し、対応策を準備しておくことが欠かせないのです。

そこで鍵となるのが、OracleからPostgreSQL移行を阻む「3つの壁」を事前に理解しておくことです。

OracleからPostgreSQL移行を阻む「3つの壁」

では、実際に移行を進める際に企業が直面する課題とは何でしょうか?
移行では、移行元と移行先の差異から生じる 「3つの壁」 を乗り越える必要があります。

ここではまず全体像を整理してみましょう。移行時に立ちはだかるのは、大きく分けて「変換」「仕様」「性能」の3つの壁です。一見すると小さな違いでも、移行の成否を大きく左右する要因となります。

①変換の壁:SQL構文や機能の違い
→ Oracle特有の構文や関数がそのままPostgreSQLで動作しないケース。

②仕様の壁:NULLや演算の扱いなど、仕様上の差異
→ 同じSQLでも、データベースごとに結果が異なることがある。

③性能の壁:オプティマイザや実行計画の違いによる性能劣化
→ SQLは動いても、期待した性能が出ず業務に支障が出る場合がある。

さらに重要なのは、進行段階が後になるほど発見が難しく、対応工数や難易度が大きくなる点です。つまり、初期段階での差異洗い出しとPoCによる検証が、移行プロジェクト成功のカギを握ります。
では、3つの壁がどのように移行に影響するのでしょうか。それぞれ見つけやすさ、対応のしやすさもふくめ解説していきます。

① 変換の壁:構文・機能差の克服

見つけやすさ:〇 対処しやすさ:〇

OracleとPostgreSQLでは、利用できる関数やSQL構文に違いがあります。Oracle特有のSQLをそのまま使うと、PostgreSQLではエラーとなり動作しません。
そのため、移行対象のSQLやデータベースオブジェクトを洗い出し、自動変換できる部分と手作業が必要な部分を切り分けることが重要です。

この観点は、Oracle特有の構文や機能をそのままPostgreSQLで実行するとエラーが出るため、比較的早い段階で気付きやすいのが特徴です。また、変換ツールを活用したり、修正工数を事前に見積もったりすることで、対応もしやすい領域です。初期段階でしっかりと整理することで、構文や機能差によるトラブルを未然に防ぎ、スムーズに移行を進められます。

② 仕様観点:SQL挙動の違いへの対応

見つけやすさ:△ 対処しやすさ:△

SQLがエラーを出さなくても、OracleとPostgreSQLでは同じSQLでも結果が異なる場合があります。
代表例としては、NULLと空文字の扱いの違いや、整数同士の除算結果の扱い(Oracleは小数を返すが、PostgreSQLは整数を返す)などです。
この場合、エラーが出ないため「見つけにくく」、アプリケーションのテスト工程で初めて判明することも少なくありません。また、差異を修正するにはアプリケーションの修正が必要になるケースもあるため「対処のしやすさ」も限定的です。

そのため、移行前に仕様差を把握し、テスト計画やPoCに組み込んで事前に検証しておくことが成功のカギとなります。

③ 性能観点:オプティマイザの違いによる性能劣化

見つけやすさ:× 対処しやすさ:×

最も厄介なのが性能観点です。Oracleで問題なく動いていたSQLが、PostgreSQLでは遅くなるケースがあります。これは、オプティマイザの仕組みや実行計画がDBごとに異なるためです。
性能問題は、実際に本番規模のデータやワークロードでテストしないと表面化しません。そのため「発見が難しく」、発覚した後のSQLチューニングも「対処が難しい」領域です。

特にOracleでは、非効率なSQLでもオプティマイザが裏側で最適化してくれるため、移行後にはじめて性能劣化が顕在化することがあります。このリスクに備えるには、事前PoCでの性能検証と、必要に応じたSQLチューニングが不可欠です。

3つの壁のまとめとして、

  • 変換観点「早期に見つけやすく、対処しやすい」

  • 仕様観点「気づきにくく、修正に手間がかかる」

  • 性能観点「発見も対処も最も難しい」
     

移行の進行段階が後になるほど課題は深刻化します。
だからこそ、初期段階で差異を洗い出し、PoCでの検証を丁寧に行うことが、OracleからPostgreSQLへの移行成功のカギを握ります。

まとめ

OracleからPostgreSQLへの移行を成功させるには、構文や機能の変換、SQL挙動の仕様差、そして性能面の違いという「3つの壁」を事前に把握しておくことが不可欠です。
これらをPoCやテスト計画に反映させることで、移行後のトラブルや性能低下を未然に防ぎ、安定したシステム運用を実現できます。

特に、発見や修正が難しくなる前に差異を洗い出すこと、そして移行を単なるコスト削減ではなく「将来を見据えたIT投資」として捉えることが、成功への近道です。
周到な準備と適切なパートナーの活用により、移行プロジェクト全体の効率化とリスク最小化が可能となります。

異種データベース移行の無料ご相談やお役立ち資料について

SCSKでは、OracleからPostgreSQLへの移行だけでなく、様々な種類のデータベース移行実績が豊富にあります。移行の各ステップで発生しやすい課題への対応ノウハウも蓄積しているため、スムーズで安全な移行を実現できます。

OracleからPostgreSQLへの移行を検討されている方、その他異種データベース移行を検討されている方は、ぜひ一度SCSKにご相談ください。
  

>>データベースに関するご相談はこちら

データベース移行に関するご相談やお見積もりも承ります!
  

>>データベース移行に関する資料はこちら

移行手順やノウハウをまとめた資料を無料で入手!  

 

お役立ちコラム一覧へ戻る